Courses and
Laboratories
研究分野
社会基盤デザイン
コース
Infrastructural
Engineering
分野紹介
人々が安心して社会生活を送ることが
できるように!
道路や橋、鉄道や空港は、人や物だけでなく情報をスムーズに伝達するための施設でもある。社会を支えるこのような「縁の下の力持ち」のことを、社会基盤構造(Infrastructure)と呼ぶ。社会基盤デザインコースでは、こうした施設や構造物を建設して安全に永く利用し続けるための研究・開発を行っている。
具体的な例をあげよう。橋などの構造物をしっかりと支えるための地盤をどのように評価するか、断層がありそうな山にどのようにしてトンネルを造るかといった、地盤や岩盤の挙動予測と利用法を考えている。広い谷を渡る橋をコンクリートで造る場合に、長い年月にわたって性能を維持できるような新しい材料を開発することもあるし、どのようなメンテナンスをすれば長寿命化できるかを考えることもある。地震が起こったとき、大きな被害を受けずに済む構造の設計法や材料の開発に関する研究もある。また、これまでに無い新しい材料で、人々を幸せにするような橋が造れないかといったことまで考えている。世界にたった一つの重要な構造物を造るために必要な知識を習得し、それをもとにして新しい土木技術の創造に挑戦するのがこの分野だ。
教育紹介
想像力と創造力を併せ持つ
技術者になるために
地震、津波、大雨や強風、塩害など、社会基盤構造物が外から受ける力の作用や化学作用は不確定なものばかりだ。技術者は、そのような外的作用を想定し、それが構造物に与える影響を予測評価し、あらゆる可能性を探った上で、それらの外的作用に対処できるような構造物を設計しなければならない。技術者には、学んだ知識を応用して解決策を探ることはもちろん、新しい「知」を創ることが求められている。
社会基盤デザインコースのカリキュラムは、材料(コンクリート・土・鋼など)の力学、構造(アーチや吊橋など)の力学、変形できる物体(連続体)の力学を基礎としている。それらの力学に基づいたシミュレーション解析をコンピュータで行う方法を学び、解析結果を正しく判断して応用できるようになるための科目が提供されている。また、模型実験で構造物の挙動や強さの特性を観察する授業や、わが国では重要な外的作用である地震に耐える構造物を造るための耐震設計法を学ぶ科目もある。いずれも、目の前で起こる現象の物理をモデル化して数学で記述した上で、コンピュータを使ったシミュレーションを行ったり、実験で模擬的な挙動を観察したりするプロセスを経て、さまざまな問題に対処するための方法論を身に付ける。近年は作用の多様化によって、建設や設計の現場で解決しなければならない問題が複雑化している。そうした問題に対処するためには、大学院の修士課程で学ぶ高度な知識が有用になってきている。
研究紹介
108のスケールレンジ
土木構造物は多様な材料からなる複雑なシステムである。例えば、数100mの鉄筋コンクリート橋を想像して欲しい。100mのスケールでみれば、鉄筋コンクリートの長い梁が橋脚に支えられ、岩盤・地盤の上に建っているようにみえる。10mのスケールでは、橋桁は分割されていることがわかり、1mのスケールでは、コンクリートの内部に鉄筋が配置されて両者の長所・短所を補い合うようにして橋桁の強度と耐久性を高めていることに気づくだろう。さらに、1mmのスケールでみるとコンクリートはいろんな素材が混じった複合材料であることがわかり、1μm以下のスケールでは、セメント硬化体の微細構造や鉄筋の材料である金属の結晶構造もみえてくる。つまり、構造物は微視的には多様な物質から成る材料を用い、その材料を成形した構造部材を組み合わせた複雑なシステムとなっている。こう考えると、構造物の性質を正確に把握することがいかに困難であるか、理解できるであろう。
社会基盤デザインコースでは、構造物の創造に関わる普遍的知識の蓄積のために、ミクロからマクロに至る108の幅広いスケールレンジを見渡しながら、構造解析手法や材料の力学特性について研究を行っている。これらの内容は、基礎理論から応用的なものまで多岐にわたる。また、その手法も、材料や構造の室内実験や現場実験から、理論解析、コンピュータを用いた数値解析まで多様である。
研究室紹介
数理システム設計学
教授 山川優樹 / 助教 辻勲平
研究内容
■材料や構造の強度と変形特性を予測評価する数理的方法の開発
■送電鉄塔などの社会基盤構造物の損傷機構と修繕技術に関する研究
■構造物を支える地盤の変形や強度の予測
先進計算力学
教授 寺田 賢二郎 / 准教授 松原成志朗 / 助教 飛彈野壮真
研究内容
■マルチスケール・マルチフィジックス解析手法と最適化手法の開発
■構造・流体・地盤の材料モデリングとCAEの高度化
■ハイパフォーマンスコンピューティングによる災害シミュレーション
インフラ材料工学
教授 久田真 / 准教授 宮本慎太郎
研究内容
■未利用資源を利活用した環境負荷低減型建設材料の創生
■熱力学や電気化学に基づくコンクリート構造物の健全度予測技術
■コンクリートの物性センシング技術の開発と維持管理技術への応用
地圏・地盤工学
教授 山田正太郎 / 准教授 加村晃良
研究内容
■地盤構造物に関する調査・設計・施工・維持管理の合理化
■地盤災害の発生機構の解明と効果的な防災・減災技術の開発
■新たな地圏環境の創生と有効利用法の探究
構造創成学
教授 運上茂樹 / 准教授 内藤英樹 / 助教 何昕昊
研究内容
■社会基盤構造物のライフタイムにわたる安全性評価技術
■橋梁等構造物の地震時挙動評価と地震に強い構造設計技術
■点検・損傷検知診断法を含むコンクリート構造物の維持管理技術
先端社会基盤学
准教授 大竹雄 / 助教 水谷大二郎
研究内容
■不確実性を考慮した社会基盤施設の信頼性設計法
■線状構造物群の災害リスク評価と最適防災施策の導出
■社会基盤施設のアセットマネジメント
計算安全工学
准教授 森口周二 / 助教 野村怜佳
研究内容
■構造・流体・地盤の多元災害シミュレーションとデータ科学の融合
■都市のレジリエンス性向上のためのディジタルツイン環境の構築
■災害シミュレーション技術と関連する数値モデリングの高度化