Courses and
Laboratories

研究分野

都市システム
計画コース

Transportation and
Urban Planning

分野紹介

文明・文化を紡ぎ出す都市という
複雑なシステム

都市はなぜ存在するのか?この疑問に答えることは、そう容易ではない。都市は、おそらく人が創り得た最も複雑なシステムであろう。都市の有り様は、その相互作用の中に内包されている以上、文明や文化の写し鏡でさえある。

その複雑な都市は、いま混沌にある。人、物、情報のモビリティーが劇的に変化し、旧来の中心市街地という名の都市構造システムが危機に瀕し、我々の経済を支える生産システムも国際分業というより大きなシステムに呑み込まれていっている。道路や鉄道といった交通システムも、環境と渋滞の狭間で揺れている。機能主義的なシステム、即ちモダニズムの都市像も、思想的に破綻して久しい。それでも人は都市に住む。そして、豊かで、快適で、効率的なシステムを都市に求めつづける。都市のこの複雑性や混沌と対峙し、都市というシステムの根幹をなすインフラストラクチャーの計画、整備、運用、そして、建築物のコントロール、ひいては制度、政策といったソフトウェアを通じて、豊かで、快適で、効率的な都市というシステムを実現していく。それが土木計画そして都市計画の使命である。

教育紹介

エンジニアそしてアナリスト、プランナーへ

土木計画家、都市計画家として、都市と対峙する。これは、都市の持つ「複雑性」、「混沌」と対峙することに等しい。「複雑性」が複雑なままであれば、人は思考することさえできない。「混沌」が混沌のままであれば、思考の拠り所がない。

都市の「複雑性」と対峙し「混沌」を理解するためには、都市が持つ「複雑性」から適切に部分システムを切りだしていく必要がある。都市において枢要な部分システムは、社会経済システム、交通システムである。これらに、システム論を加えた三つをカリキュラムの核としている。その一方で、「混沌」の本質を踏まえ、理想を構築していくためには、システム的に切りだし得ない部分への深い教養が重要である。これらのために、地域・都市計画、景観といった講義の他、実践的な計画演習までが、カリキュラムに組み込まれている。また、3~5セメスターにかけ、まず、幅広く土木工学全般を修得するカリキュラムを組んでいる。都市というシステムの根幹をなすインフラストラクチャーへの理解は、土木計画の基本であり、他分野出身者にはない強力且つ基本的な武器となるからである。

このようなカリキュラムを通じ、土木工学の基本的な素養に積み重ねていく専門性として、「混沌」への理解と計画行為の素養を持ちつつ「複雑性」に積極的に対峙するアナリストや、「複雑性」をシステム的に理解する素養を持ちつつ「混沌」へ立ち向かうプランナーが輩出できればと考えている。

研究紹介

「複雑性」と「混沌」の地平

単一の学問分野に拘泥しているものは、都市の持つ複雑性を解きほぐすことはできない。そして、混沌たる都市に羅針盤を据え付けることもできない。都市はそれほどまでに複雑である。従って、都市の学問分野は研究のるつぼと言って良い。工学分野だけではなく、経済学、社会学、地理学、心理学、法学、歴史学等、有りとあらゆる分野から、切り込んでいくのが都市である。都市システム計画コースにおいて、世界最先端の理論を駆使し都市の複雑性を読み解き、表現しようとする抽象研究から、実践での経験、蓄積をもとに混沌たる都市に立ち向かう具象研究まで幅広く行われているのはこのためである。例えば抽象研究としては、「不確実性下の意思決定」「都市の理論モデル」「最適制御」といったテーマが、具象研究としては、「便益計測」、「環境政策分析」、「リサイクルシステム」、「産業・貿易システム」「公共交通システム」「都市景観」などが主なテーマである。

都市システム計画コースでの研究活動は時に厳しく、時に柔軟である。都市システムという分野の学際性を意識し、卒業研究、修士論文、博士論文を問わず、研究室を越え合同ゼミが行われ、具象から抽象へ、抽象から具象へと、専門分野を越えた、議論が盛んに行われている。指導教員以外の教員、学生から、指導教員とは違った視点での意見が飛び交う。それは、研究を行っているものにとっては厳しい試練でもあるが、研究を柔軟に展開し、且つ、確固たる研究の位置づけを獲得する上での重要な意味を持っている。

研究室紹介